マンホール蓋の参考資料
|
|
|
|
1号マンホール(参考)
|
1. |
マンホールの呼名の違い |
|
|
|
一般に「マンホール」と「マンホール蓋」の区別、さらに「マンホール」と「ハンドホール」の区別が微妙ですので、ここではっきりさせてみようと思います。
グラウンドマンホール
「マンホール」(=manhole)とは、地下の深い下水道など横穴の点検用として、作業員が地上から出入りできるように地面にあけられた大きな縦孔のことを意味します。
この「マンホール」のことを別名「人孔」と呼び、道路でよく見かけるマンホール蓋のことを一般に「マンホール蓋」、「人孔鉄蓋」と呼びますが、日本グラウンドマンホール工業会では正式名称として、「グラウンドマンホール」と呼ぶことにしています。
敷地内マンホール蓋・建築設備用マンホール蓋
また、私たちは、家の周囲にある大きくない鉄蓋を普通に「マンホール」と呼んでいます。
この大きくない「マンホール」は、敷地内の雨水や排水や雑排水を下水本管へ誘導するための桝の点検用の鉄蓋であり、実際の大きさの規格は300φぐらいから900φぐらいまで様々なバリエーションがあり、「敷地内マンホール蓋」とか「建築設備用マンホール蓋」と言った方が判りやすいと思います。
マンホールとハンドホール
また、600φを境に大きい孔を「マンホール」と呼び、600φより小さい孔、手を入れて作業する小さい孔を「ハンドホール」という分け方もありますが、現状流通している「ハンドホール」のなかには600φをこえる大型のものも多く、大きさの区分が当てはまらない場合があります。
ハンドホールの多くは地中にケーブルや配線などの電設資材や通信機器を地下に埋設するための比較的浅い位置の地中空間を形成するための点検桝と言った方が適しています。
乱暴かもしれませんが、道路にある下水管の大きな鉄蓋を「グランドマンホール」、電気ケーブル用の点検桝に取付ける鉄蓋を「ハンドホール蓋」、道路と電気用に使わない鉄蓋を「敷地内マンホール蓋」と考えてもいいかもしれません。
|
|
|
|
グラウンドマンホール
敷地内用マンホール |
2. |
マンホールの荷重の違い |
|
|
|
3種類のマンホール蓋の荷重の表記基準は各々別です。
1.公道用の荷重規格としては、公道仕様マンホールカバー規格が日本グラウンドマンホール工業規格により決定されています。
衝撃を考慮した輪荷重の5倍よりマンホールの破壊荷重が小さくなくてはならないというものです
2.敷地内仕様の荷重規格としては、SHASE209により規定されています
安全荷重の4倍よりも破壊荷重が小さくなくてはならないというものです。ちなみに敷地内25トンについては輪荷重5トンの規定が据え置かれたため適用荷重20トンと同じとしています
3.ハンドホール蓋などで使用される歩道仕様の荷重区分
(キャブシステム)では、衝撃を考慮した輪荷重の3倍よりも破壊荷重が小さくなくてはならないというものです。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
片状黒鉛鋳鉄・ネズミ鋳鉄 |
|
マンホールと鋳物 |
|
|
|
マンホールは鋳物製品の代表する工業製品ですが、本来、鋳物とは製品と同じ形状の空隙を有する鋳型に溶けた金属を流し込む製法で作られたもの総称です。鋳物には鉄合金系の「鋳鉄」・「鋳鋼」、非鉄合金系のアルミニウム・銅・マグネシウムなどがあります。「鋳鉄」は鉄と炭素とケイ素などの混ぜて型で作った合金ですが、「鋳鋼」に比べて炭素量が多いのが特徴です。
ちなみに炭素含有量が0.02%~2.1%が鋳鋼の範囲となり、2.14%を超えて6.67%までが鋳鉄の範囲と規定されています。
炭素の量が多いと融解温度が低くなり、型の隅々に湯が行きわたりやすく生産しやすいうえ、振動を吸収する長所があります。しかし、炭素はもろく、引っ張り強度が低いため折り曲げたりできませんし、溶接が基本できません。
|
|
|
球状黒鉛鋳鉄・ダクタイル
1軸試験機
|
|
FCとFCD |
|
|
|
鋳鉄製のマンホール蓋は主に「FC」や「FCD」と呼ばれる材質で作られております。
「FC」はもっともよく使用される鋳鉄で、通常ネズミ鋳鉄とか片状黒鉛鋳鉄と呼ばれています。
鋳鉄の中の断面を見ると、長い筋状の黒鉛が分布しているのが判ります。FCの黒鉛はパンのクロワッサンのような感じで垂直方向にも分布しており、一定以上の力が加わった瞬間に、黒鉛の筋に沿ってひびが入って曲がることなくパキンと割れてしまいます。「FC」を材質とするマンホール蓋は、適当な厚さと重量で製作する場合は適用荷重14トンまで強度の場合多いです
「FCD」は、「FC」にマグネシウムやカルシウムなどを含んだ黒鉛球状化剤を添加したもので、ダクタイルとか球状黒鉛鋳鉄と呼ばれております。
鋳鉄の中の断面を見ると、黒鉛が小さい点状に分布しているのが判ります。また垂直方向も点状に分布しています。つまり黒鉛が球状で点在し周囲を基礎基材によって囲まれているため、その機械的性質は基礎基材の影響を受け、鋼と同程度の粘り強く強靭な鋳物になります。よって「FCD」を材質とする敷地内マンホール蓋は適用荷重20トンや25トン用を目安に使用されます。また道路用の人孔鉄蓋=グラウンドマンホールに使用されます。
ちなみに敷地内マンホールの14トン以下のものはFC200という材料が使用され、敷地内用マンホール20トン用ではFCD500が使用される場合が多いです。また道路用のグラウンドマンホールでは蓋はFCD700,枠はFCD600が使用される場合が多いです。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
敷地内マンホール蓋は、主に汚水桝の点検口として使用されます。汚水桝の中は排水とともに通過するゴミや汚泥が桝内で分離沈殿しますので、管の中の詰まりを防ぐため、マンホール蓋を開けて、枡から管のメンテナンスを行う必要があります。また汚水桝は、当然悪臭がしますし、何もしなかったら臭い空気が外部に漏れ出ますので、マンホール蓋には桝内で生じる悪臭の外部への放出を防止する機能を持っています。 |
|
水封型 |
水封型マンホール
水封型マンホール蓋は一般的なマンホール蓋で、蓋を開けると判るのですが、マンホールの枠の内側には溝があって、マンホール蓋は溝の壁に持上げられています。桝内の臭い空気は、枠の内壁とマンホールの立ち上がりの2か所で屈曲しながら外部に放出されますので、コンクリート蓋よりも悪臭の放出量を減らしてくれます。
さらにマンホール蓋の立ち上がりと枠の底とは接触してないうえ、この枠の溝に水がためることで空気の流れが遮断され、桝からの臭いを防いでくれます。また屋外で配置すれば枠と蓋の隙間は砂でふさがれれば防臭性はある程度確保されます。
|
簡易密閉 |
簡易密閉型マンホール
簡易密閉型マンホールは、蓋と枠の間にパッキンを取付け、枠と蓋の隙間を蓋の重さでパッキンを押し付けて空気の流れを遮断する構造です。車両通過時時にパッキンの変形により隙間が生じたり、桝内気圧が上昇したりすると、パッキンによる悪臭の遮断能力に限りがあります。しかし、人通りのある屋外等で、また汚水桝から漏れる臭いが気になる場所などでは、簡易密閉であれば比較的コストも安く、かなりの防臭効果が期待できます。通常はここまでで納まります。
|
密閉型
テーパーパッキン
密閉型
ボルトロック |
密閉型マンホール
密閉型マンホールは、もっと密閉性を高めて桝から外部への空気の放出を止めたいとき使用します。密閉式では桝内で上昇した空気の圧力が桝から放出されないことになりますのでご注意ください。
テーパーパッキン型は、蓋と枠は下に行くほど狭まる断面形状で形成され、蓋の立ち上がり側面にパッキンを取付けたマンホール蓋です。マンホールの蓋を枠内にセットする際、無理やり側面のパッキンをつぶして押し込みますので、車両通過による多少の蓋の上下動では隙間は生じません。ただし蓋を開ける際は簡単にはあきません(=専用工具でしかあきません)のでご注意ください
ボルトロック式のマンホール蓋は、パッキンを蓋と枠で挟み込み、上からボルトでマンホール蓋ごとパッキンを常時強力に押し込むことで空気の流れを遮断します。開閉の際はボルトを外してください。
かつては「簡易防臭」「防臭型」といった"効果をあらわす表現"をしていましたが、現状多くのメーカーは「防臭」という効果を示す言葉を使わないで、「水封型」「簡易密閉型」「密閉型」という機能で表現しています。
|
|
|
|
|
マンホール商品の掲載ページ |